個人的な話だが、政治のことを全く理解していない。学生時代に勉強をサボっていたのが悪いんだけど、小・中学校での公民の授業がビックリするくらい面白くなくて、どうしても勉強する気にならなかった。僕みたいな大人は多いと思う。とはいえ、大人になって生活するには絶対に知らないといけないけど、巷で売られている政治関連の本は、専門家が自分の頭の良さを自慢するためにワザと難しい単語を連発して、意味が分からず余計に政治のことが嫌いになってしまう。
馬屋原吉博の「今さら聞けない!政治のキホンが2時間で全部頭に入る」は、「政治って何?憲法って何?主権って何?美味しいの?」と思っている、政治のことを全く理解していない人に向けて、丁寧に分かりやすく政治を解説している。
政治に関わる3つの機能

政治とは、立法を司る国会と行政を司る内閣、司法を司る裁判所の3つで構成されている。これら3つが、日本の1)ルールを作り、2)ルールを世の中にあてはめ、3)問題をルールに則って解決している。政治とは、国会と内閣、裁判所を学ぶこと(要は三権分立)が日本の政治を学ぶということになる。
日本では間接民主制が徹底されている

日本では民主制が採用されている。民主制と言っても間接民主制と直接民主制がある。直接民主制とは、関係者全員(国民)が話し合い、多数決を採って物事を決めていくこと。最近、イギリスがEUから脱退するか?ということを国民投票でやっていたが、これが直接民主制。日本では直接民主制は採用していなくて、国民が政治家を選び、政治家が行動する、関節民主制を徹底して行っている。とは言いつつ、全てを政治家が決めているわけではなくて、憲法を変えるときだけは国民投票をすることになっている。
国民が直接意見を言える直接民主制の方が良さそうに聞こえるが、直接民主制にしてしまうと、国民全員が意見を言って建設的な議論にならなかったり、少数派の意見が無視されやすかったりするデメリットもある。直接民主制でも関節民衆制でもメリット・デメリットがあるが、日本ではとにかく関節民衆制を採用している。
法律ができるまで

よくテレビなどで見かける国会は、立法を司っているが、国会の主な仕事として、1)法律の制定・改廃、2)予算の議決、3)内閣総理大臣の氏名が上げられる。本当はもっとたくさんの仕事があるが、ここでは法律ができるまでを見ていく。
国会は議会で話し合いをしているイメージがあるが、主には通常国会という毎年1月から150日間開催されるやつと、通常国会で話足りなかったことを話し合う臨時国会というのが主な議会となる。
ただし、議会は議決の場であって、細かい審議は委員会で決定される。衆議院と参議院には、予算委員会や内閣委員会、総務委員会といった17の常任委員会が設置されている。ひとつの委員会は原則として20〜50人の国会議員で構成され、大臣はいずれかの常任委員会に所属する。2つの委員会を掛け持ちする議員も多い。日本の国会は「委員会主義」をとっていて、法案を最終的に本議会に上程するかどうかを決めるのは委員会であるため、法律の制定のおいて委員会が持つ力は大きい。
法律案を国会に提出できるのは「内閣」と「国会議員」だけで、準備された法律案は、参議院か衆議院の議長に提出され、委員会に送られる。委員会では、法律案に詳しい国会議員が集まり(ときには専門家の意見を聞くための公聴会を開き)、議論を重ねる。ここで詰められた法律案は、最終的に「本議会」に送られ、ここで出席議員の過半数が賛成すれば可決される。
また、国民は直接国会に「こんな法律を作って欲しいので検討してください」と請求することはできない。お願い(誓願する)ことはできるが、国会の側にそれに対応する義務はない。法律を作って世の中を変えていきたい場合は、内閣か国会議員に影響を与えることができる人間になるか、いっそのこと自分が選挙で立候補して国会議員になるしかない。
選挙のキホン

選挙というと、小選挙区制や比例代表制、小選挙区比例代表制などの早口言葉みたいなのを学校では覚えさせられる。習った覚えは一応あるが、学校の先生の説明が悪いのか、僕のやる気がないのか、当時は全く理解できなかった。
日本での選挙は「選挙区制」と「比例代表制」というのがある。選挙区制は「A山B男」のように氏名を書いて投票する。比例代表制は「A党」というふうに政党名を書いて投票し、議席数を争う。衆議院選挙と参議院選挙で細かい仕組みの違いはあるが、氏名を書いて投票する選挙区制選挙で6割の人を決めて、残りの4割を比例代表制選挙で決める合せ技を使っているので、小選挙区比例代表制という呼び名がついている。ちなみに、小選挙区は1つの選挙区から1人を決めるやり方で、大選挙区は1つの選挙区から2名以上を決めるやり方。大選挙区制と中選挙区制に明確な違いはない。
守られない公約が多いことを理由に、選挙に行ってもムダだと感じる人も少なくないようですが、投票しない人には政治を批判する資格もありません。
PART5 選挙のキホンより
僕のように政治に詳しくない大人は多いと思う。しかし、そんな良く知らない政治が僕たちのルールを作っているので、政治に詳しくて損はない。ニュースや新聞では委員会や社会保障、日米安全保障条約、集団的自衛権などが話題になるが、この本を読んだ後では、それらを理解できてしまう。基本的な部分しか理解していないだろうけど、今さら聞けない!政治のキホンが2時間で全部頭に入るは、政治について「分かった!」という感覚を与えてくれる。