読書ノート

この一冊で「聖書」が分かる!

聖書(キリスト教)ほど今の世の中に影響を与えているものはない。日曜日に休むことだって、当たり前のように西暦を使うのだってキリスト教の影響である。ちなみに、ユダヤ教では土曜日が安息日で、キリスト教では日曜日が安息日となっている。カレンダーを見て、土曜日が一番最後になっているのはユダヤ式で、日曜日が最後になっているのはキリスト式である。

また、キリスト教圏では聖書にゆかりのある人部の名前を子供に命名するのが基本である。ポールだったら「使徒パウロのようになるように」とか、ピーターだったら「使徒ペトロのようになるように」とか、ミッキーも天子ミカエルからきている。さらに、サンパウロやセントルイス、サンタクララなど、地名に「サン」や「セイント」、「サンタ」が頭に付く所は全て聖書に基づいている。上げればキリがないほど、聖書に由来するものは多い。

キリスト教の世界とは関係が薄いと思われている日本でも、「豚に真珠」も聖書由来だし、「平和」という概念も聖書から来ている。5月の第2日曜日の「母の日」も聖書が起源で、婚約という概念もそうである。

詳しくなくてもいいから聖書のことを知っておくと、外国文学を読む時や外国の映画を観る時、哲学などの思想書を読む時に、聖書を知らなかった時よりも深い理解を得ることができる。この一冊で「聖書」がわかる!: 旧約、新約のあらすじから、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教まで (知的生きかた文庫)は、聖書の全体について最低限くらいの教養を身につけれるよう聖書について説明している。

読む人がどう思うかなんて人それぞれだけど、最初から最後まで読んだけど、この本は読まなくてよかった。聖書のことを知らない人に対して入門書的な位置付けで書いているはずなんだけど、聖書のことを理解していないとダメな内容になっている。

副題に「イスラム教まで」って書いているけど、イスラム教の触りの触りの触りの触りくらいしか書いていない。GoogleとかAmazonの検索でより引っかかるようにイスラム教って入れているとしか思えない。買ってくれる人を騙してもいいから本を売り上げたいと思っているのだろうか。タイトルと内容が合ってない本ほどムカつくものはない。

最後の方で「ダイジェスト」ということで聖書の紹介をしているが、これも省き方がエグい。例えば、サムソンのダイジェストが「敵方ペリシテ人の女デリラを愛してしまったがゆえに、酒に酔ったときに自分の秘密をうっかり漏らしてしまう。そして、眠っている間に的に髪の毛を切られるばかりか両目をえぐられてしまうのだ」で終わっている。本当は、拷問されている最中に髪の毛が伸びてきて力を取り戻したサムソンはペリシテ人を道連れに死ぬ。この本の書き方だとペリシテ人に一方的に拷問されて死んでるけど聖書にはそんな書き方はされていない。これだと、「7回表に坂本の2ランホームランで逆転に成功」で終わっているのである。本当の結末は、「デラロサが最終回に同点タイムリーを打たれて引き分けで終わっている」にも関わらずだ。

この本は一貫して「イエス」のことを「イエズス」って言っているけど、それも腹が立つ。少なくとも日本の他の本や世間一般では「イエス」で通っている。なのに著者は「イエズス」で通している。著者にこだわりがあるのが別にいいんだけど、世間一般に反して「イエズス」って使うなら、きちんとその理由を書いてほしい。

それと、別にこの著者だけではないんだけど、改行を乱舞させているもの腹が立つ。一文ごとに改行されている。本来の段落の部分で空行を入れて表現している。段落の意味を全く理解していない。携帯小説じゃないんだから、段落くらいきちんと使ってほしい。小学校の作文の授業をやり直して書き直せって感じ。ページ数が本の値段(要は自分の印税)になるから、ページ数を稼ぐために改行を乱舞させているようにしか思えない。

最後に、参考文献リストがないのもダメ。小説やノンフィクションじゃないのに、本を書くにあたって参考文献を全く参照していないなんて到底思えない。参考文献が書かれていない本なんて全く信用できない。

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