読書ノート

コンテナ物語

トヨタやホンダでJIT方式というものが採用されている。これは、生産過程において、各工程に必要な物を、必要な時に、必要な量だけ供給することで在庫を徹底的に減らして生産活動を行う生産方式である。

JIT方式では、顧客が必要な時に必要な数だけ生産し、コンテナにおさめて指定自国に納品する。コンテナ出現以前には考えられなかった。メーカーは在庫を多く抱える必要がなくなり、大幅なコスト削減に繋がっている。小売企業の場合も事情は同じで、緻密なロジスティクス管理により在庫費用の圧縮が可能になった。

SCMの信頼度が高まれば高まるほど、小売店もメーカーも生産コストの安いところを探し、遠国のサプライヤーに臆せず注文を出すようになった。

コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった 増補改訂版は輸送に必ず使われるコンテナの成り立ちや広まり方を詳細に紹介している。

コンテナが発明される前は、第二次世界大戦の軍艦を改造して輸送船にしていたため、大きすぎる船に少なすぎる荷物になっていて輸送費が非常に高かった。

ニュートンのりんご的な説明では、コンテナがない時代は、いちいちトラックから荷物を船に積み替えないといけなかったので、非常に順番待ちで港で待たされていた。そこにトラックドライバーのマルコム・マクリーンがトラックごと船に乗せれば時間短縮できるんじゃね?ということでコンテナが発明された。

当時はコンテナを輸送に使うことは鉄道に利用されていたが、コンテナは、船会社だけではく、鉄道にもトラック運送会社にも荷主にも影響を及ぼす。

また、当時の輸送船をコンテナ船に改造するのは、コンテナに変えることによる人員削減で労働組合が反発したこと、さらなる船の改造の費用をかけてペイできるか船会社自体が疑問に思ったという理由で中々発展しなかった。

しかし、ベトナム戦争でアメリカ軍がベトナムへの物を送るのが非常に非効率だったのを改善しなきゃということでコンテナを使った輸送が発達せざるを得なかった。

流行らないと思われていたコンテナだが、コンテナの登場により、輸送費が格段に安くなり、今までは遠くから送るほどでもなかった色々な物が世界中獣で流通することになった。コンテナは世界経済を大きく変えた。

これまで海上貿易の拠点だった、ニューヨークやリバプールは凋落した。コンテナ港には向いていなかった。輸送コストが高かった時代は、消費者に近い立地に港がある方が有利だったが、輸送費が下がると、地方に転居した。伝統を誇る老舗船会社は、コンテナ輸送に切り替えるコストを負担しきれずに倒産した。

SCMの信頼度が高まれば高まるほど、小売店もメーカーも生産コストの安いところを探し、遠国のサプライヤーに臆せず注文を出すようになった。

コンテナの大きな魅力の一つは安全性が高いことだった。ロックされたコンテナ内に収まった貨物は、港で手荒な扱いを受ける混載貨物より損傷を受ける危険性がはるかに小さく、盗まれる可能性も低い。だから1980年代になって、内容物を秘匿でき、匿名性が高く、信頼性の高いコンテナ輸送は麻薬や不法移民の運搬に理想的だと密輸業者から指摘されたとき、船会社も国教管理当局も衝撃を受けた。

もう一つ特筆すべき点は、この間にコンテナの中身に誰も手を触れないということだ。おそらくコンテナの扉が途中で開けられることさえない。どれほどいい加減な検査で済ますとしても、全部の箱を点検することなどできるはずもない。つまりコンテナは、核物質、麻薬、テロ用の爆弾から不法移民にいたるまで、不正な品物を忍び込ませる格好の手段にもなっている。

国内でも国土交通省が「AI港湾」というコンセプトのもとで、コンテナターミナルのさらなる省力化や自動化を検討している。コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった 増補改訂版に記されているが、強風が吹く中でのガントリークレーンのオペレーションは職人技であるものの、センサー技術とAIを駆使することでさらなる開発が期待されるところである。国際海上輸送の主力として成長してきたコンテナは、世界経済の成長に伴いまだまだ成長すると言われている。その背景にあるものが詳細に記載されたコンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった 増補改訂版を是非ともご一読頂ければ幸いである。

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