よく巷では「ロジカルシンキング」という言葉をよく聞く。そういう本が腐るほど売られている。コンサルの会社でも新入社員にロジカルシンキングの大切さとか、ロジカルシンキング力をつけるためのノウハウを叩き込まれる。
僕はコンサルタントとして一応働いているけど、コンサルは相手の心情を忖度して、間違った方向と知っていながら指摘せずに話を進めることはやってはいけないことである。相手の深層心理を察するには、ロジカルシンキングではなく、自分の経験に基づく直感力が大事になる。人生経験が豊富な人は他人を説得する場合には相手の表情や反応を見ながら言い方を工夫して話をする。人生経験が浅い、というか直感力がない人は、データに基づいた提案をストレートに話して、相手を怒らせたりして何も進展しなくなる。
未来仮説検証思考 直観とロジカルシンキングの融合法は、これからの時代は、直感によって未来に対して仮説を立て、その後ロジックで検証する思考が必要である、ということを述べている。個々の人生によって与えられた時間的、肉体的、能力的な制約がある中で、各自がより高い理想と最大限の高価を追求することで人生の勝者になれると述べている。
重要なことは常に過去の事例(成功も失敗も)を参考にしつつも、研ぎ澄まされた直観で未来を見据え、ロジックにかなった勝ちバターンを思考するということだ。
「第三章 AI時代で生き残るための5つの課題」より
今後どうなるか分からない未来に向けて、未来思考のために直観を研ぎ澄ますことが必要となる。直観を研ぎ澄ますには、同じことを考え続けることが大事である。同じことを思考続けるのは、自発的に取り組める好きな分野を選択するのが良い。
そして、一つのことに興味を持てば、さらに興味の対象が広がる。先入観で好き嫌いを決めずに、知人からのお誘いの声などの機会があれば、好奇心を旺盛にして乗るのが良い。無駄な付き合いを減らして得したと思っていても、大きな目で見れば損していることが多い。さまざまな人との付き合いや経験をしていくうちに、多種多様な人間を突き動かす普遍的な行動原理のようなものが見えてくる。
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実際に仕事では、これまでの人生でのインプットに基づく直感力によって仮説を立てているので、本書に書かれている通り、直感力は大切だと思う。その直感で得た仮説をロジックと組み合わせる。
しかし、未来仮説検証思考 直観とロジカルシンキングの融合法の副題に「直観とロジカルシンキングの融合"法"」とあるが、直観とロジカルシンキングの融合法は書かれていない。あくまで「ロジカルシンキングだけではダメで、直感力を磨きましょう」と警鐘を鳴らしている本である。