読書ノート

陽明学 生き方の極意

陽明学は, 中国の明の時代の王陽明により唱えられた学問. 「崖の高さは飛び降りてみないと分かんないじゃん」をモットーにしている.

陽明学 生き方の極意は, 陽明学を分かりやすく説明した入門書がない, ということで著者の守屋洋が「自分で書いてやる」ということで出版された本.

王陽明

王陽明のなかなかの名家に生まれ, お父さんも科挙の試験に合格して官僚として働いていた. 当然のことながら, 王陽明も周囲の期待を一身に集めて科挙の試験を目指した. しかし, 机にかじりついて本を読むことが苦手だった. 王陽明は血の気が多く, 勇ましいことが好きだった.

朱子学に疑問を抱いて悩みに悩んだけど, 科挙の試験を放棄することは許されなかった. 「郷試」と呼ばれる大一次試験には, 21 才の時に合格したが, 3 年ごとに行われる「殿試」と呼ばれる最終試験には 2 度失敗し, 3 度目の朝鮮でようやく合格した. 28 才だった. 成績は中程度だったらしい.

王陽明は, 形骸化した朱子学を批判し, 陽明学を唱えた. 伝承録に陽明学が書かれており, 王陽明と弟子たちの問答を記録したもので, 上中下巻からなる. 陽明学は「知行合一」を目指した. 知行合一とは, 知ることと行うことは一体のものでなければならない, というのです.

儒教は孔子や孟子の他にも流派があったけど, 漢の時代になると儒教だけが国教となった. その後, 仏教や道教が栄える中で, 儒教は地盤沈下を免れなかった. 社会に対する影響力も衰えると, これに対する危機感が儒教の中から起こっていく. そういう危機感をバックに, 宋の時代に入ってから, 儒教の再編成が行われる. この新しい儒教は, 宋代に起こったことから「宋学」と呼ばれる. また, これを集大成したおが, 朱子という人物であったところから, 「朱子学」とも呼ばれるようになった.

朱子学は, 万物が万物として成り立っている根本の原理が存在していることを認め, それを「理」と名付けました. そして, 万物の「理」を縮めて, 究極的な知識に到達しなければならないと主張した. その「理」は, 具体的には, 先哲の残してくれた古典の中にまとめられている. だから, 古典学習こそが「理」を窮める近道だということになる.

陽明学はこれらについて異議を唱えたのですが, 「理」の存在を認めるところまでは同じだったけど, 「理」は自分の外にあるのではなく, わが心こそ理なのだ, というのである. つまり, 朱子学では「理」の絶対優位性を認め, その前に人間がひれ伏していくのに対し, 陽明学では人間の優位性を主張し, 心の燃焼--自分を奮い立たせることを重視する.

陽明学は儒教の一派で, そのもとをたどると, 葬礼や祭祀を司る民間宗教のようなものから発生したと言われている. それを学問や思想のレベルにまで高めたのが, 今から 2,500 年前に生まれた孔子. そして, その教えを受け継いでさらに発展させたのが, 孔子の孫弟子のそのまた孫弟子にあたる孟子. 陽明学はその孟子の系列になる.

その陽明学に「知行合一」という言葉があり, 知ることと行うことは一体じゃないといけない, という考え方.

他にも「事上磨練」という言葉もある. これは, 苦労は, 誰のためでもなく, 自分のためのもの. なるべくなら苦労に負けないで, むしろ, 苦労をバネにして自分を磨いていくことが望まれるのです. 理想を言うと, たっぷり苦労はしてきても, そんな素振りはオクビにも出さず, 「私は苦労なんて知りませんよ」と, 明るくさやわかに振る舞うというもの.

こういった考え方が幕末の志士たちに非常に受けて, 日本史というかその後の歴史を考えると世界史が動いた.

 

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