読書ノート

GIVE & TAKE ― 「与える人」こそ成功する時代

タイトルを見て思ったのが「情けは人の為ならず」だった。実際に読んでみると確かにそういう内容だった。しかし、GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代 三笠書房 電子書籍は意識高い系の本ではなく、行動科学の理論と実証研究に裏打ちされている。そのため、個人的な経験や思いつきで書かれた自己啓発書とは違う。

GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代 三笠書房 電子書籍の議論の底にあるのは、ギバー(与える人)とテイカー(受け取る人)、マッチャー(バランスをとる人)の3種類。本書では、仕事の場面で日常的に見られる相互作用に対して人間が持つ前提の違いに焦点を当てている。

監訳者も言っているが、GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代 三笠書房 電子書籍は「読めばつい心と体が動いてしまう本」である。

大きな成功を収める人々には三つの共通点がある。それは「やる気」「能力」「チャンス」だ。

成功とは、勤勉で、才能があり、かつ幸運な人々にいよって達成されるものである。確かにこれら3つは成功には必要だが、第4の要因がある。それがどのように人々に「ギブ・アンド・テイク」するかだ。社会は人々が密接に結びつき、そこでは人間関係と個人の評判がますます重要になる。

そしてビジネスで誰かと関わるたびに、相手からできるだけ多く価値あるものを受け取るべきか、それとも見返りを気にせず価値あるものを与えるべきか、を選択することになる。

テイカーは常に、与えるより多くを受け取ろうとする。ギブ・アンド・テイクの関係を自分の有利になるようにもっていき、相手の必要性よりも自分の利益を優先する。テイカーにとっては世の中は食うか食われるかのし烈な競争社会だ。また、費やした努力は必ずきちんと認められるようにする。ただ用心深く、自己防衛的なだけである。

ギバーは、ギブ・アンド・テイクの関係を相手の利益になるように持っていき、受け取る以上に与えようとする。テイカーが自分自身を考えるのに対し、ギバーは他人を中心に考え、相手が何を求めているかに注意を払う。いつ何時も、相手の利益の方あ上回るように手を差し伸べる。見返りを一切期待することなく相手を助ける。自分の時間やエネルギー、知識、スキル、アイデア、有益な人脈を惜しみなく分かち合おうとする。豊かな人脈を持つ人は高い業績を達成し、昇進も早く、収入も多い。人脈は人間関係がもつパワーをもとに機能しているので、ギブ・アンド・テイクのやり方が成功に及ぼす影響を理解する上で強力な柱となる。

マッチャーは、与えることと受け取ることのバランスを取ろうとする。常に「公平」という観点に基づいて行動する。相手の出方に合わせて、助けたりしっぺ返しをしたりしながら、ギブとテイクを五分五分に保つ。

とはいえ、この3つの線引は厳密ではなく、自分の役割や相手との関係によって、この3タイプを使い分けている。

「成功するのが先で、与えるのはそのあと」という一般的なやり方の逆を行き、「先に与える人」こそが、あとでもっとも成功するのだと教えてくれる。

自分に全く利益をもたらさない人間をどう扱うかで、その人がどんな人間かがはっきりわかる

情報を分かち合い、嫌われ仕事をし、仲間を助けている人の中には、人に利用されうだつの上がらない人もいる。お人好しと成功者を分けるのは、生まれついた才能や素質ではなく、その戦略や選択に関係している。

人を助け始めると、評判がどんどん高まり、自分の可能性の世界が広がるため、利他的に振る舞えば振る舞うほど、人間関係から更に多くの恩恵を得られる。

なぜテイカーの不公正な行為を懲らしめようとするのだろう?それは悪意からではない。自分を利用しようとしたから、テイカーに仕返しをするのではない。これは「正義」のも題なのだ。

もしコミュニティ内でテイカーに痛い目に合わされると、「評判情報」を共有することでテイカーを懲らしめる。噂話は広く行き渡る、効果的で、安上がりな処罰の形態である。テーカを罰するだけでなく、評判情報を共有すれば、他人がテイカーに利用されるのを防ぐことにもなる。情報が広まるにつれて、テイカーは今ある関係を断たれるだけでなく、新たな関係も築けなるくなる。情報を手に入れた人々は、テイカーを信頼しなくなる。

弱みを見せても効果があるのは、周囲の人々に有能だと認められている場合にかぎる

ギバーは人を助けることに関心があるので、自分の弱点をさらすことを恐れない。弱さを見せることで、信望を集められる。

しかし、達人がヘマをすると、好感度が上がるが、平均的な人がヘマをした時には、好感度は下がる。これをプラットフォール効果と言う。優秀な人の場合、同じ失敗をすると、近寄りがたさがなくなって、逆に人間らしく親しみやすい印象を与える。

少し昔は商品を生産する仕事はたいてい独立して行う必要があった。一方現在は、かなりの数の人々が互いに協力しあってサービスを提供している。サービス部門が拡大するにつれ、ますます多くの人々が、ギバーとして人間関係や評判を築いたサービス提供者を重視するようになった。受ける側からすれば、ギバーからサービスを受けたいと思うのは当然である。会社や自分の利益よりも、顧客の利益を一番に考えているかどうかが、最も有力な要因になっている。

GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代 三笠書房 電子書籍は定量的・定性的データの分析から導出される議論を駆使して、我々が何気なく口にしている「プラスサム」「ウィン・ウィン」と言われる現象の背後にあるメカニズムについての深い理解を与えてくれる。

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