読書ノート

スタンフォード式 最高の睡眠

日本は世界でも平均睡眠時間が短い。東京で働く人は9割は社畜なので、平均6時間眠れていない人はたくさんいる。6時間眠れている人は仕事終わりに読書したりテレビを観たりしたいのを我慢して睡眠時間を作っている。

こうした社畜を狙って「ノンレム睡眠とレム睡眠の周期は90分。なので90の倍数分眠れば良い」なんて言われていたりする。しかし、実は必ずしも「90分周期」とは限らない。90分の倍数で寝ても、目覚めが悪いケースなんていくらでもある。

スタンフォード式 最高の睡眠は、スタンフォード大学で30年近く睡眠を研究史て得た知見を軸に、「あなたの睡眠を、あなた史上最高にする」方法を伝える。「90分の倍数で眠る」みたいな俗説についても、最新の科学的検証を通して、正しい知識とメソッドを提供している。1日24時間のうち、大きな部分を占める睡眠を味方にできるか敵に回すかで、人生は大きく変わる。

スタンフォードで見つけた「睡眠の法則」

睡眠の覚醒の質に直結する。その鍵は、「90分の黄金法則」である。レム・ノンレムの周期に関わらず、睡眠の質は、眠り始めの90分で決まる。最初の90分さえ質が良ければ、残りの睡眠も比例して良質になる。逆に最初の睡眠でつまづくと、どれだけ長く寝ても自律神経は乱れ、日中の活動を支えるのがホルモンの分泌に狂いが生じる。 どんなに忙しくて時間がなくても、「最初の90分」をしっかり深く眠ることができれば、最高の睡眠がとれる。

根付いた後、すぐに訪れるのはノンレム睡眠。とりわけ最初の90分間のノンレム睡眠は、睡眠全体の中で最も不快眠りである。この階段の人を起こすのは非常に難しく、無理に起こすと頭がすっきりしない。

睡眠メンテナンスで意識したいのが、最初のノンレム睡眠をいかに深くするか、ということである。ここで深く眠れれば、その後の睡眠リズムも整うし、自律神経やホルモンの働きも良くなり、翌日のパフォーマンスも上がる。

黄金の90分の質を高めれば、すっきりした朝を迎えられる。昼間の眠気も消える。更に、「しっかり寝たはずなのに、疲れが取れない」こともなくなる。仮に4時間しか眠れなくても、最初の90分の質が良ければ、その4時間の質を最大限に高めることができる。

「寝る時間がない」なら、絶対に90分の質を下げてはならない。

Better than notingの法則

ひとつ大事なことは、ショートスリーパー以外の普通の人は、最低でも6時間以上眠るのがベスト、ということである。睡眠の時間には囚われなくても良いが、6時間は確保するのが良い。

そして、黄金の90分を手に入れるために欠かせないのは、「体温」と「脳」である。理想通りに睡眠時間を増やすことは不可能でも、眠り方を変えることで睡眠の質が高まり、覚醒時のコンディションが整うばかりか、パワーも増大する。

「どうしても資料を作らないと……」な夜の過ごし方

「どうやって黄金の90分を手に入れるか」というと、毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きることである。ベッドに入るのは日付が変わる前、できれば23時くらい。人間も日内リズムに支配されているので、夜になれば眠り、朝になれば起きる。だが、ほとんどのビジネスマンにとってこれは無理難題である。

「もう午前0時。でも、どうしても資料を作らなければならない」といった夜がきっとあるはず。そんな夜でも、徹夜だけは避けるのが良い。眠気があるならまず寝てしまい、黄金の90分が終了した最初のレム睡眠のタイミングに起きて、資料作りに取り掛かる、という作戦である。最初のレム睡眠も入れてわずか100分ほどしか寝ていないとはいえ、深く眠れていれば室は確保される。

また、最初にレム睡眠がやってくるタイミングは人によっては多少違ってくるので、アラームをセットするならば「90分後」と「100分後」(ないし110分後)の2つが良い。この場合、睡眠量は明らかに不十分だが、質の面では「最低条件下の最大限のメリット」を得られることになる。眠った場合の「100分」は、その後の効率アップで確実に元が取れる。

「体温」と「脳」に眠りスイッチがある

規則正しい生活を送れない人もいるし、普段は規則正しくても、「明日は出張で4時起きだから、今すぐ眠りたい!」という日もあると思う。90分だけ眠ってから資料を仕上げたい夜も、素早く眠らなければ時間がなくなる。

子供のようにすぐ眠るためのスイッチは、「体温」と「脳」である。この2つのスイッチにより体と頭はスリープモードに切り替わり、睡眠が劇的に変わる。

室の良い眠りであれば体温が下がる。スムーズな入眠に際しては、深部体温と皮膚温度の差が縮まっていることが鍵である。入眠時には深部体温を下げ、皮膚温度は上げて差を縮める。これが黄金の90分を手に入れる1つ目のスイッチの入れ方である。

「脳のスイッチ」を適切に切っていくことで、眠り始めの乱れを防ぐことができる。

スタンフォード式 最高の睡眠法

眠っている時は深部体温は下がり、皮膚温度は逆に上がっている。大事なのは、いったん皮膚温度を上げ、手足にたくさんある毛細血管から熱放散することで、効率的に深部体温を下げていく。

体温スイッチ① 就寝90分前の入浴

入浴は深部体温をも動かす強力なスイッチとなる。入眠前の軽い運動も体温上昇効果はあるが、過度な運動をすると交感神経が刺激されるので入眠には不向きである。疲労や痛みが伴うこともあるため、眠りのための運動はお勧めされない。

入浴によって一時的に上がった深部体温は、上がった分だけ大きく下がろうとする性質がある。そのため、入浴で深部体温を意図的に上げれば入眠時に必要な「深部体温の下降」がより大きくなり、熟眠に繋がる。

入浴によって0.5度上がった深部体温が元に戻るまでの所要時間は90分。入浴前より更に下がっていくのはそれから。つまり、寝る90分前に入浴を済ませておけば、その後更に深部体温が下がっている。皮膚温度との差も縮まり、スムーズに入眠できる。

午前0時に寝たいなら、下記のタイムスケジュールになる。

  • 22時00分: 入浴。湯船に15分つかる。皮膚温度、深部体温ともにアップ。
  • 22時30分: 入浴終了。皮膚温度は0.8〜1.2度、深部体温は0.5度上がる。汗をかくなどして熱放散スタート。
  •  0時00分: 熱放散により深部体温は元に戻り、更に下がり始める。このタイミングでベッドに入った状態でいること。
  •  0時10分: 入眠。皮膚温度と深部体温の差は2.0度以内に縮まっている。

入浴後は熱放散のために夏も冬も発汗している。「寒い時期だから」とすぐに着替えて分厚いガウンなどを着込んでしまうと、熱放散がうまくいかず、深部体温が下がらなくなる。

40度未満のぬるいお風呂に15分より短い時間入った場合は、深部体温は0.5度も上がらないし、元に戻るまでに90分もかからない。ゆえに「忙しくて、寝る90分前に入浴を済ませるなんて無理だ」と言う人は、深部体温が上がりすぎないように、ぬるい入浴かシャワーで済ませるのが良い。

靴下を履くと眠気逃げる?

「靴下を履いて足を温める → 靴下を脱いで熱放散し、深部体温を下げる → 入眠」このプロセスが理想である。

靴下を履いたまま寝てしまうと、足からの熱放散が妨げられてしまう。足からん逃げない状況は「深部体温が下がりにくい」ことを意味し、「眠りの質の悪化」にダイレクトに繋がる。一時的な着用に留めるか、よほどの冷え性でもない限りは避けた方が眠りのためだろう。脱がない靴下は、眠りの助けにならない。運動やマッサージなどで、日頃から手足の血流を良くすることが必要である。

電気毛布や湯たんぽを使う方法もあるが、ずっと温めていたら今度は熱がたまる「うつ熱」現象が発生し、熱放散が起きなくなる。もし使うのであれば、寝る前だけにする。温まって血行が良くなったところで外して眠れば、熱放散が促進される。

体温効果を上げる「室温コンディショニング」

掛け布団より敷布団の方が材質による違いは大きい。どんな良い寝具でも、音質を整えておかないとメリットを引き出せない。

日本は局所だけを温める文化だから、真冬でも部屋は寒い。分厚い布団でエアコンなし、というのも珍しくないが、体温のスイッチとして効果的なのは快適な室温である。入眠後は自然と体温が下がる。その上、発汗による過剰な熱放散があると、体温が下がりすぎて風邪を引いてしまう。これが夏風邪の原因の一つである。

また、温度が高いと湿度も高い場合が多い。湿度が高すぎると発汗しなくなり、手足からの熱放散を妨げられ、眠りが阻害される。うつ熱に関しては、室温と湿度による影響の方が強い。逆に室温が低すぎると血行が悪くなり、熱放散も怒らず眠れない。

そば殻枕で頭を冷やす

通気性が良いと湿度は下がるので、その意味では日本のそば殻枕も有効だと思われる。アレルギー問題などもあるが、今は技術の発達で、そば殻と構造が同じプラスチックビーズも開発されている。

ちなみに枕の高さについては、軌道を確保することを考えると低い方が良い。ただし、体型は皆違うし、首のカーブも違う。更に眠りには好みが大きく関係するから、個人差が大きい。残念ながら枕についての絶対解はない。

眠りの天才は頭は使わない

ブルーライトの影響を睡眠に及ぼそうと思えば、かなり画面に顔を近づけてジッと観続ける、ぐらいのことをしないといけない。

スマホやパソコンが睡眠に影響を与えるのは、ブルーライトというよりも、操作で脳を刺激してしまうことにあると言える。基本は、寝る前は何も考えないこと。言ってみれば「眠りの天才は頭を使わない」。

いつも通りのベッドで、いつも通りの時間に、いつも通りのパジャマを着て、いつも通りの証明と室温で寝る。入眠前に音楽を聴くならいつも同じ単調な曲。テレビも本も刺激が少なく退屈なものにしておく。交感神経活動を上げるようなものは極力排除する。

忙しい日常を送る現代人にとって、「今以上」の量の睡眠時間の確保は現実的とは言えない。しかも、悩みもストレスも「量の確保」では解決しない。たくさん眠ったところで、最高の睡眠は得られない。

最高の睡眠とは、「脳・体・精神」を最高のコンディションに整える、「究極的に質が高まった睡眠」である。

スタンフォード式 最高の睡眠は、眠っている間の脳と体の働きをベストなものにして「睡眠の質」を徹底的に高め、最強の覚醒を作りだす方法を紹介している。夜な夜な訪れる人生の3分の1の時間が、残りの3分の2も決める。

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