読書ノート

考える技術・書く技術

会社で人が作った報告書やパワポを見ていると、分かりにくい資料に出会うことがある一方で、びっくりするくらい分かりやすい資料に出会うこともある。こうした分かりやすい資料は総じてピラミッド構造になってる。

ピラミッド構造では、縦方向と横方向という単純な論理スタイルで考えが関連付けれられている。自分の考えをピラミッド型に構成し、それをピラミッド構造のルールに従ってチェックすることで分かりやすい文章が書けるようになる。

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則は、ピラミッド構造の原理と基礎を分かりやすく説明し、文書作成の技術を学ぶことができる。加えて、自分の考えの構成を批判的に眺める技術も説明している。また、複雑な事象・問題を分析し、解決に向けての行動を提案するための問題解決のプロセスについても説明している。最後に、報告書やパワポを作成する時に、ピラミッド型に構成した考えを他人に伝えるにはどうすれば良いか、の表現技術も説明している。

書く技術

分かりにくい文章は、書いたものが、書き手の考え方の並べ方が、読み手の理解のプロセスとうまく噛み合っていないのが原因で起こる。分かりやすい文章は、文章が上手いとか下手とかではなく、文章の構成に関係している。読み手にとって最も分かりやすいのは、主たる大きな考え方を受け取り、その後に大きな考えを構成する小さな考えを受け取る、という並べ方である。主たる考えをまず述べることで、読み手はなぜそういう考えになるのか書き手に対して疑問を持つことになる。そこで、ピラミッドを一段下りて、その疑問に答える。この疑問と答えのプロセスを繰り返せば、全ての考えを読み手に伝えることができる。

しかし、ほとんどの人は書く前に自分の考えを明確に認識していない。単に紙に向かって自分の考えをピラミッド型に並べようとするだけでは不十分で、まず自分の考えを発見することから始める必要がある。この発見のプロセスは、下記のフレームに従う。

  • 主ポイントと補助ポイント間の縦の関係
  • 補助ポイント同士の横の関係
  • 導入部のストーリー展開

縦の関係

ピラミッドのそれぞれの箱には、メッセージをひとつだけ記入する。「メッセージ」とは、読み手に疑問をもたせるような記述のこと。ちなみに、一般的に人は自分が既に知っていることを理解するために読むのではない。どんな文章であれ、書くことの主目的は読み手がまだ知らないことを伝えることだと言える。

読み手の知らないことについて何かを主張する、ということは、自動的に読み手の頭の中に「なぜ?」とか、「どのようにして?」とか、「なぜそんなことが言えるのか?」という疑問が生じる。書き手は、1段下のレベルに下りて、横の広がりでその疑問に答える。しかし、その答えも読み手の知らないことを含んでいるかもしれない。そこで読み手は更なる疑問を抱き、書き手は更に1段下のレベルでそれに答えなければならない。書き手は、論理的に考えて読み手がこれ以上の質問がないところまでQ&Aを繰り返す。

導入部のストーリー展開

ピラミッドを作り始める前に、文章全体として読み手のどんな疑問に答えようとしているのか、は知っておかねばならない。これは、導入部のストーリー展開で明らかにする。

読み手の頭の中に既にある疑問、あるいは周りの出来事をちょっと見回せばでてくる疑問、そんな疑問に答えるような文章にすることで、読み手の文章への興味を確実なものにできる。導入部では、疑問の由来をたどることで、疑問の本質をはっきりさせる。

導入部では、まず、「状況(Situation)」の時間と場所を設定する。この「状況」の中で、何かが起きる。これを「複雑化(Complication)」と呼ぶ。この複雑化によって、読み手は「疑問(Question)」を抱き、その疑問に対して書き手の文章が「答え(Answer)」を与える。

このSCQAによって書き手と読み手と「同じ場所」に立ち、そこで初めて読み手を書き手の考えに沿って導くことができる。また、この展開によって自分の文章の主ポイントを明確化できるので、伝えたいメッセージが適切かどうかを正しく判断できる。

まとめると、ストーリーには、「状況」が設定され、その中で「複雑化」が発生し、それが「疑問」を呼び起こし、書き手の文章がその疑問に「答え」を与える。「答え」を述べると、読み手はそれに対する疑問を抱くので、今度は1段下のラインでそれに答えることになる。縦のQ&A方式、横の演繹的/機能的論理、そしてストーリー的導入部の構成――これら3つの基礎構造を利用すれば、自分の考えを明確にでき、ピラミッド作りに取り掛かることができる。まず、縦の関係を知ることにより、これから伝えようとする考えの妥当性を主張するには、その下のグループでどのような種類の考えが必要かを判断できる。横の関係を知ることにより、グループ化したメッセージが同じ種類のものかを判断できる。そして、読み手の最初の疑問を知ることにより、書き手が文章全体で伝えようとしていることが、読み手を本当に引きつけるものかどうかを確認できる。

複雑化とは何か

導入部の複雑化とは、多くの場合「問題」と捉えて良いが、厳密に言えば違う。書き手が伝えようとしている物語の中で起こる状況の「複雑化」であり、これが疑問の引き金となる。

そして、ほとんどの文章は図の4つの疑問のどれかに答えるものである。

導入部の長さは?

導入部は、読み手を書き手の考えに導く前に、読み手と書き手が同じ土俵に立っていることを確信できるくらいの長さがあればOK。一般的には、2〜3つの段落で十分であり、長くても4段落くらいまでにする。既に知っていることを思い出させるには、たくさんの記述はいらない。もし、導入部に図表をちりばめて説明しているとすれば、それは間違いなく明白なことを冗長に書いている証といえる。

読み手と書き手の関係が近ければ、導入部も短くて良い。導入部の長さはその後に続く本文の長さとは必ずしも関係があるわけではなく、読み手の必要性と関係がある。書き手の主ポイントの重要性を十分に理解してもらい、かつ書き手の伝えようとすることに関心を持たせるためには、読み手に何を知ってもらう必要があるか?それを考える。

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