読書ノート

外資系コンサルのリサーチ技法

上司から「調べておいて」と言われて作成したレポートが、ネットの検索結果をコピペしただけものに過ぎないことも多いと思う。このようなネットの検索結果をビジネスの意思決定にインプットにしようとする思考停止病が蔓延している。リサーチとは、単なる情報収集のことではなく、ビジネスの意思決定を後押しする“洞察”を抽出する行為である。“物事を観察して、その本質や奥底にあるものを見抜くこと”である。

リサーチは、“考える”作業そのものである。何を考えるかを考えながらリサーチして、リサーチして得た結果を見てまた考え、また足りないことをリサーチして、その結果の意味合いを考え抜く。これがビジネスの意思決定に繋がる洞察を抽出することであり、リサーチの本来の価値である。リサーチすることは思考することそのものであり、情報をただ集めるだけの作業になった瞬間、それは価値のない行為となる。

外資系コンサルのリサーチ技法―事象を観察し本質を見抜くスキルは、ビジネスマンにとって大事なリサーチスキルを「インプット→プロセス→アウトプット」の3つに分解して紹介している。「インプット」のステップでは必要な情報を、どう集めて、どう整理して、どう加工して、意味あるものに昇華するのかを問われていて、この力を高めることが本書のテーマになっている。

リサーチの目的を確認する

リサーチをする際には、“何を知りたいか”を考える前に、“そもそもどんな課題を解決したいか”という“答えるべき問い”をはっきりさせておく必要がある。

例えば、上司から「中国の飲食店市場を調べてくれ」と言われたとする。とりあえず飲食店の業態や店舗数の変化を調べようか、などと考えはいけない。まずは、“中国の飲食市場を知ることで、どんな課題を解決したいか”や“どんあアクションに結びつけたいか”ということをはっきりさせる必要がある。この場合、上司は、中国の飲食店経営に乗り出したいのか。それとも食材の新しい取引先を見つけたいのか。後者だとしたら、それはどんな食材なのか。あるいは、そもそもどんな食材だったら良いかまで含めて検討する必要がある。

“答えるべき問い”によってリサーチの内容は大きく変わる。可能な限り最初の段階で“答えるべき問い”を絞り込むことが、リサーチを成功させるポイントである。

情報は少なければ少ないほど良い

リサーチの品質は、“いかに多くの情報を集められたか”ではなく、“報告相手にやってほしいこと、合意してほしいこを、いかに少ない情報で達成できたか”で判断されるべきである。“情報は多ければ多いほど良い”という考え方は捨てるべきである。

心に留めるべきことは、“大抵の場合は思ったより少ない情報で何とかなる”ということ。ビジネスは研究ではないので、あくまで人が動くために必要十分な情報と論理を集めれば良いのである。

ゴール×時間を最初に設定する

何も準備しないままググる作業を始めると、単なるネットサーフィンになる。無駄な時間がかかる上、“結局何が分かったんだっけ?”という悲惨な結果になりかねない。

そういう自体を避けるために最初にすべきことは、“どのくらいの時間をかけてどのくらいの結果を目指すのか”という投資対効果をイメージすることである。

国内マクロデータはまずはe-Statを見る

政府系の統計データを探す場合は、まず総務省統計局が中心となって運営している“政府統計の総合窓口”e-Statを見る。これさえ見れば、政府系の統計をほぼカバーしている。収録されているデータは多岐にわたるので、質問に答えていくと欲しいデータが見つかる“e-Statナビ”というサイトも準備されている。

なお、統計局は“統計メールニュース・サービス”というメールマガジンも提供している。月初、月中、月末程度の定期で、どのような統計が新しく公開されたかを完結に伝えるサービスで、これをざっと眺めておくだけで、何か統計を探そうというときに、「そういえばメールに載っていたな」と思い出すことができる。

特定の業界についてはまずは業界団体をあたる

官公庁が発表しているデータは、カバー範囲が広い代わりに深さは求められていない。例えば、アルコール飲料業界でいえば、カテゴリー別市場規模くらいなら取得できるが、容器別(樽・缶・瓶など)年次生産量推移、などの細かいデータまでは入手できない。

そのような場合に心強いデータソースは、省庁の外郭団体や、各業界の業界団体の統計レポートである。

自分がリサーチしようとしている業界ではどのような団体があって、どんなデータを公表しているのか、一度概観するのが良い。

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